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2018JリーグYBCルヴァンカップ 決勝
日時:10月27日(土) 13:10キックオフ
会場:埼玉スタジアム2002

湘南ベルマーレ 1-0 横浜F・マリノス
J1リーグ戦の合間に縫って行われるJリーグ YBCルヴァンカップも遂に大詰め。
ホーム平塚で行われた柏レイソルとの準決勝第2戦、PK戦までもつれる死闘を制し、クラブ史上初のJリーグカップ決勝進出を決めた我らが湘南ベルマーレ。

決勝戦の相手は同じ神奈川県に本拠地を置く横浜F・マリノス。
同大会の決勝戦史上初の“神奈川ダービー”マッチとなったこの試合、日本中のサッカーファンの注目が大きく集まるこの試合で、ベルマーレはこれまでのクラブの歩みを象徴するような試合を見せます。

試合開始のホイッスルが吹かれると、ベルマーレ戦士たちはサッカー関係者の間で『湘南スタイル』と呼ばれる闘い方を前面に押し出します。

ボールを持った相手チームの選手に容赦なく襲い掛かり、ボールを奪ったら素早く攻撃を展開。ボールを持った選手の後方の位置から様々な選手たちが攻撃に参加し、相手ゴールを陥れる。
マリノスの選手たちに息つく暇さえ与えないベルマーレ戦士たちのパフォーマンスの質は高く、今季2試合闘って1分け1敗のマリノスを大いに圧倒。
特に、埼玉スタジアムを本拠地とする浦和レッズに在籍していたFW梅崎司選手、MF岡本拓也選手の気合いは凄まじく、ベルマーレのユニフォームを着たことで得ることが出来た自信と勇気をプレーにそのまま反映。
アグレッシブさ全開な気持ちを攻守に打ち出し、試合を優位に進めます。

試合が動いたのは前半36分でした。
自陣右サイドからDF山根視来(みき)選手のパスを基点に、MF秋野央樹(ひろき)選手→MF金子大毅選手→FW石川俊輝選手→FW山﨑(やまさき)凌吾選手の流れでパスを繋ぎ、最初にパスを出した山根選手が前線へ駆け上がり、その動きを感じた山﨑選手がパスを送ろうとしますが、このボールは一度相手にカットされてしまいます。

しかし、カットしたボールがルーズになり、左サイドの位置から前線に位置取っていたMF杉岡大暉(だいき)選手がボールを拾ってゴール方向へドリブル。
前方にシュートが撃てるスペースを見つけ、相手のゴールマウスを確認すると、迷いを払拭し、決めるんだ!という強い気持ちが込もった杉岡選手の強烈な左足シュートがマリノスGK飯倉大樹選手の両手を弾いてゴールネットを揺らし、埼玉スタジアムに詰めかけたベルマーレサポーターを熱狂させます。

ベルマーレの1点リードで折り返した後半は前半と打って変わりマリノスのペースで試合が進みます。
今季、ベルマーレとの2試合で4得点を挙げているFWウーゴ・ヴィエイラ選手、鋭いドリブル突破が武器のFW仲川輝人選手、さらに途中こらはルヴァンカップの大会得点王FW伊藤翔選手を投入し、巧さと速さを持ち併せたアタッカーの選手たちを中心にベルマーレの選手たちをほぼ自陣に追い込んで得点を奪いに行きますが、ベルマーレの絶対守護神GK秋元陽太選手と、最終ラインを形成する3バックの山根選手、DF坂圭祐選手、DF大野和成選手を中心とした堅い守備でマリノスの攻撃を愚直に跳ね返し続け、勝利への強い気持ちを見せます。

1-0でベルマーレがリードしたまま後半の追加タイムの4分が過ぎ、試合の終了を告げるホイッスルがスタジアム内に響き渡ります。
その瞬間、ピッチの内外、スタンドの席種、場所を問わずにテレビの前やSNSで闘い続けていた黄緑と青の戦士たちのこれまでの頑張りが遂に報われることになりました。

クラブ創立50周年という記念すべき年に、クラブ史上初のJリーグカップ優勝という大快挙を成し遂げたベルマーレ戦士たち。

かつて、現役の代表選手を何人も抱えながらも当時の親会社の経営難による撤退からクラブが消滅しかけ、クラブ消滅は免れたものの主力選手が大量に居なくなったチームは1部リーグから2部リーグへと降格。2部リーグ暮らしも長年の歳月を要し、10年経ってやっと1部リーグへ戻れたりはしたものの、この数年の間に1部と2部リーグの間を行き来し続けていて、およそ順風満帆とは言えないクラブの人生を今も歩み続けている湘南ベルマーレというクラブですが、たとえどんなに辛く、苦しいことがあっても“ブレない”ものを心に刻んでおけば、いつかはその歩みが正しかった、間違ってはいなかったんだと、今回の闘いで示してくれたに違いありません。

試合後の監督会見、チームを率いて7年目で大きなタイトルを手にしてみせた曺貴裁(ちょう・きじぇ)監督は「この優勝はクラブ全体の勝利だと思います。いろいろな人がこの日を待ちわびていた中で、ここにいられることを幸せに思います。」とコメント。

“ここ”には居られなくても、かなり遠くて近いところから試合を見守ってくれていたクラブ関係者やサポーターの方々たちも居たと思います。
この世界に存在している人たち、別の世界に存在している人たち含めたベルマーレファミリーの集大成が、この大舞台に集められたような気がしてなりません。
全ての人たちにこの場を借りて感謝します。

ベルマーレを愛する皆様、本当におめでとうございました。

ただし、これはまだ通過点に過ぎません。
チームにはJ1リーグ残留という、大きなミッションが待ち受けています。
残りの試合に全身全霊をかけて、悔いのないシーズンの終盤戦を過ごしてもらいたいですね!

最後に、“日本サッカーの父”と呼ばれる伝説のドイツ人指導者、デットマール・クラマーさんの名言でこの記事を締めくくりたいと思います。

「タイムアップの笛は、次の試合へのキックオフの笛である。」
サポーター記者:佐々木 駿